アーセナルがイギリス人を一人も出さなかった日 − 「なんて恥ずべきこと!」「イギリスのサッカーの為にならんぞ!」

...ったく。ねえ。パレス戦でベンゲルがイギリス人を一人もださなかったことに対してのあれやこれやの非難です。昨日の段階ではあまりに馬鹿馬鹿しいと思って記録に残す気がなかったんです。でも元アーセナルで元アル中・ついでにドラックもやっていたポール・マーソンが「ひどい冗談・恥ずべきこと」なんて言ってて... 勿論人には意見を持つ権利があるし、中でも特に愛国主義の人達はそう思うことは容易に想像つきます。そう思ってもいいけれど、公の場でそれを言うのはどうかな。アル中でドラックやってますって彼が告白したとき、アーセナルは暖かい目で彼を見守り彼の更生を待ってたって言うのにどうして、ただでさえアーセナルは色々と騒がれているのに、そんなことを公の場でいえちゃうんだろう。ドラックやってるなんていったら、もし彼がアーセナルじゃなくて他のクラブにいたらクビになってて今頃はどうなっていたのやら、なのにね。まあ、よく「過去は忘れて明るい未来!」っていうけど、それはちょっと...

まあ、それは別にいいとしてもうひとつのコメント「イギリスのサッカーのことが心配になる」って言ったのが、イギリスの選手組合のボスをやっていらっしゃるゴードン・テイラーさん。

ほほー。ってことはイングランドが国際試合を勝てないってのはアーセナルのせいなんでしょうか?いやあ、国際試合に対してクラブレベルの試合ほど興味をもてないせいかそんなこと存じ上げておりませんでした。

で、このテイラーさん、「アーセナルの副会長のデインがUEFAの提案(何人のクラブで育てられた選手がどーのこーのってやつ)を躍起になって反対するのは心配な材料だ」なあんて言われてますが...あのお〜マンUも一緒になってこれに反対しているんですけど、アーセナルが反対するのは心配材料で、マンUが反対するのはOKなんですか?

ソルは怪我、アシュリーも熱ってことでこういう結果になったのですが、じゃあ、アーセナルは、イギリスのリーグであるからという理由だけで、病人のイギリス人を無理やりださなければならないのでしょうか?または、同じ理由で、経験のない10代のイギリス人を出すべきだったんでしょうか?

例えば、イギリス人を出さなきゃいけない!っていう理由で、レーマンを落としてリザーブキーパーのライトを、レジェスを落としてライアン・スミスを、アンリを落としてアダム・バーチャルを出したとしましょう。次の日の一面は「アーセナル、パレスを見下して格下の選手をうめる!」ってなるのは間違いないです。

アーセナルだけではなく、どの国のどこのクラブも自国の選手を出さなくてはいけないから出すのではなく、自国の選手を出したいから出すっていうのが本来の形なんじゃないのかなあ。

まあ、それもほっておいたとして、何故アーセナルイングランドの選手を買わないのか?答えは簡単。値段が高いから。アシュリーが望むお給料が払えないくらいですからねえ。

じゃあ何故イングランドの選手は値が張るのか?うーん、きっとそれはすごーくいい選手が少ないからじゃないのかなあ。希少価値だからこそ値が上がる(ゆえに選手の給料に対する希望がたやすくきいてもらえる)。そう思いませんか?だって、こんなこといったらあれだけど、イングランドがワールドカップの勝者になるなんて私には想像つきません。

そしてどうしてイングランドにはすごーくいい選手が少ないのか??それはアーセナルだけのせいなんでしょうか?それともイングランド人にはいい選手になるセンスがないのでしょうか?

私自身はサッカーをやらないのでよくわからないことも多いのですが、多分若い人達の才能をできる限りのばすことができる指導陣の足りなさなんじゃないのかなあ。それからやはり、あまりにもイングランド人の選手が高すぎるから「正しい値段」がつけられている外国人選手にいくんじゃないでしょうか?クラブ側もビジネスなんだから、無理をして高い値段をだしてまあまあの選手を買うより、それよりも安く・しかもよりよい選手が外国にいるのであれば、そっちを買いたい、ってなりますよね。

チェルシーのように、金を湯水のように使えるクラブはそうそうないのでそれが現実なんだと思います。

ひとつのクラブがイングランド人を一人も出さなかったからってことでイングランドのサッカー界の行方を心配する前に、もっと根底にある問題に注目しないといけないんじゃないかって、国際試合に関しては傍観者の私はそう思ったりするわけです。