ヴィエラのこと パート1

すっごく長いんで、2回にわけます。ベンゲルヴィエラについて書いたもののようです。このエントリーだけでも長いので全然パスして読まなくても、または途中で読むのやめてくれてもOKです。(文章もなんかちょっと...な気がしてます)

最初にパトリック・ヴィエラの能力で印象付けられたのはフランスのリーグカップの時でした。私のチームモナコはカンヌと対戦していてすべてのワンオンワンで勝つとても強いクラウド・プエルが中盤にいました。パトリックがハーフタイムの後出てきて、彼と比べると突然プエルが子供のように見えたのです。
すぐに私は自分自身にこのヴィエラって奴はいつかすごい選手になるぞって言ったんです。
その後私はカンヌへ彼を見に行ったのですが、彼に直接会ったのは1996年の1月のことでした。

ジョージ・ウェアFIFAのワールド・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、彼が私をミランに招待してくれたのです。パトリックとは試合のハーフタイムの時に会いました。彼は試合に出ておらず、まるで道に迷ってしまったように完全に混乱しているようでした。
彼がどれだけ試合に出るのが好きかというのを考えると、ミランでベンチにいること、それどころかスタンドで観戦しているなんて拷問のようだったに違いありません。彼を元気付けようとして私は彼に言ったんです「とにかく頑張れよ。最後には何とかなるんだから。それにまあACミランにいるわけだしね」
ミッドフィールドを征服・支配できるってわかっている彼が完全に落胆しているのを見るのは本当に辛かったです。まああの頃ACミランにはたくさんのいい中盤の選手がいたんですけどね。
その年の7月、私はアーセナルから連絡を受けました。パトリックがアヤックスと交渉中ということで、日本から彼に電話をしてアーセナルと契約するように言ったんです。そんな経緯で彼はアーセナルに移籍してきたのです。誰が彼を獲得しようと移籍金が350万ポンドと決まっていたので、すんなりといった移籍でした。
デヴィット・デインにもしヴィエラに来てほしいのなら早く行動しないと獲得し損ねるからためらっている暇はないって言いました。それに私はその時の彼のエージェントはアヤックスよりアーセナルへの移籍を望んでいたと思います。アヤックスは経済的に問題があったと思います、なぜならヴィエラのサラリーで少しひるんでいたんです。その点アーセナルからは彼らが望んでいたものをすべて直ちに得られたんですから。
私はガナーズに1996年10月1日に参加しました。パトリックはその数ヶ月前の7月に参加しました。彼は最初の頃苦しんでいましたね。私は彼を直ちに選んだのですが、少しも迷いはありませんでした。1人や2人ではパトリックからボールを奪えないんです。少なくとも3人が必要でした。そしてその3人でさえボールを奪えるかどうかの確信はなかったと思います。ただちに彼は私にとって大きな存在となったのです。
彼はまた人々の心の中にも入っていきました。イギリス人はこの来たばかりで特にこの長い足が特別に見えない選手がウインブルドン(対ウインブルドン戦)に行って対戦相手の選手達の中に入り込んでいくところをみて、彼らはとてもそれを気に入ったんです。フランス人の選手と言うのはフィジカルなコンタクトを避け、ちょっとやわな感じがする言う評判があったのですが、しかしすべてのイングランドのチームが90分ガンガンやっているところをみて、とても信じられなかったんです。
サンシロへ行ってミラネーゼが「一体ヴィエラをもっていくなんてなんてことをしたんだ!どうして私たちは彼を放出したんだ?」って言ってきたのを覚えています。
そして私たちはヴィエラを獲得して大成功だったんだって感じたんです。彼は本当に強く、支配的だったんです。彼は崩すことも出来ダイレクトだしボールもだせる、大体がそれを一度にやってしまうんですよね。誰が何を言おうと、ヨーロッパにあんな選手はたくさんいなかったし、今もそんなにいませんよね。ラウレンが一度こんなことを言いました。
「パトリックはうちのチームの肺だ」って。
結果、毎年夏私たちは最終的に彼を放出するんじゃないかってプレッシャーを感じていたんです。うちのクラブは無限の財源などないですから。ですから彼のような選手がいるっていうのは素晴らしいと感じる反面、心配でもあったわけです。よくこんなことを言ったものです。「もし彼が去ったら一体どうやって代わりを見つけられるんだ?」

2002年にトニー・アダムスのとても素晴らしいキャリアが終わったとき、私はパトリックをキャプテンにすることに決めました。私にとっては明らかな選択でした。パトリックが外国人ということで何人かの人にショックを与えるとは思っていましたが、驚くほどすんなりと落ち着きました。彼がキャプテンとなり権力を持ったのですが、しかし彼はまたもっと他の選手の言うことも聞いていました。毎年彼は成熟していきました。彼のアーセナルでの最後のシーズンの間、また新たなレベルに到達したのです。彼は他の色々なことから距離を置くことができたんです。彼は衝動的で一旦かっとなるとすぐ反応するほうでしたからね。しかし昨シーズン彼は自分をもっとコントロールすることができたんです。

それで気がついたのですが、仕事が私たちの性格の新しい面を見せてくれる、というより自分達がまだ気づいていない」一面を見せてくれるんだなあと。それは自分達に自信がないから、もしくは誰も私たちにそれに気がつかせてくれなかったからなんでしょうけど。
内面に素質をもっているとその仕事に必要とされている方向に自分が成長するものなんでしょう。だから私はパトリックにとってキャプテンになるというのはとても大きなプラスの面での影響があったと思っているんです。彼はもっと責任感というものをもつようになり、キャプテンになったあと2度しかレッドカードをもらっていないんです。

ワールドカップでの優勝も当然彼にたくさんの自信を与えました。しかし彼はいつも自信を持っていない人です。私は彼のような自信の持たなさというのは好きです。なぜならそれはとてもポジティブな問いかけを生み出すからです。それは試合の間に自分をつぶしてしまうものではなく、それは自己批判をする反省のプロセスにつながるのです。パトリックはいつも自分のパフォーマンスをとても明快に分析するんです。

続きはできたら今週中に...